
――家庭・学校・地域でできる実践ガイド
目次
はじめに:うまく遊べないのは「性格」だけじゃない
いま起きていること:支援の「場」と「しくみ」が広がっている
“つまずき”の正体:典型パターンを知る
エビデンス:友だち作りを教える「PEERS®」
今日から使える:練習ステップ(家庭・学校・地域の三層で)
具体アクティビティ:5つの“遊びのドリル”
保護者の関わり:家庭は“ソーシャル道場”
学校・地域とつながる:相談先の地図
つまずいた時のリカバリ:ミニQ&A
おわりに:小さな成功を“連続”にする
用語ミニ解説
参考にした最新動向
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はじめに:うまく遊べないのは「性格」だけじゃない
「誘っても断られる」「順番が守れずケンカになる」「ルールが急に変わると混乱する」――こうした困りごとは、いわゆる“発達グレー”(診断の有無にかかわらず、発達特性に由来するつまずきが日常で目立つ状態)でよく見られます。ポイントは、「友達関係はスキル(練習で伸びる)」という視点に立つこと。学校現場ではSST(ソーシャルスキルトレーニング)の教材やワークが拡充し、低学年向けにも段階的に学べる資源が増えています。最近も、あいさつや断り方・誘い方を可視化する低学年向けSSTワークが新たに刊行され、家庭や学級での実践がしやすくなりました。(こどもとIT)
いま起きていること:支援の「場」と「しくみ」が広がっている
学校ではスクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカーが配置拡充され、心理教育や相談の機会が増加。校内外の専門機関連携も強まり、子どもの居場所づくりや不登校支援と合わせて、対人関係の土台づくりが政策的に後押しされています。(文部科学省)
また、各自治体の校内支援センター(SSR)では、「安心できる環境」「人とのつながり」「周囲の理解」を軸にSSTや交流機会をデザインし、自己表現の促進や段階的な参加を積み上げる実践が報告されています。(滋賀県公式ウェブサイト)
福祉領域でも、児童発達支援・放課後等デイサービスの最新版ガイドラインが、子どもを中心に据えた多機関連携と計画的な支援(評価→調整→見直し)を明確化。家庭・園校・事業所の情報共有を前提に、社会参加の経験を積むことが重視されています。(cfa.go.jp)
“つまずき”の正体:典型パターンを知る
発達グレーの子が友達と遊ぶ場面でつまずきやすいポイントを、よくある順に挙げます。
- 合図の読み取り:相手の「今は話しかけてほしくない」「冗談だよ」の非言語サインが読み取りにくい。
- ルールの更新:遊びの“暗黙ルール”が途中で変わるとついていけない。
- 切り替え:負け・中断・順番待ちで感情が高ぶると切り替えに時間が必要。
- 視点取得(相手の立場で考える):自分の興味を優先しがちで、相手の楽しさとの折り合いが難しい。
- 言語処理:早口・多人数の会話についていけず、反応が遅れて“無視”に見える。
この「どこで」「何が」難しいのかを先に特定することが、練習設計のカギです。校内の実践研究でも、対人葛藤の社会的問題解決(状況理解→選択肢→結果予測→決定)の手順化が学級で有効に働くことが示されています。(静岡大学学術リポジトリ)
エビデンス:友だち作りを教える「PEERS®」
思春期以降のPEERS®(友だち作りのSST)は、子どもと保護者が同時に学び、家で保護者が“ソーシャルコーチ”になる設計が特徴。国内外の研究で、社会的スキル・孤独感・友人と集まる頻度などの改善が報告されています。国内の放課後等デイでも、対面×オンラインのハイブリッド実施で有効性が示され、参加継続のしやすさも確認されました。
→ 重要な含意:スキルは場面で使ってこそ定着します。家庭でのロールプレイ→実際の遊び→振り返り、の循環が成果を左右します。
今日から使える:練習ステップ(家庭・学校・地域の三層で)
ステップ1:観察とターゲット決め
- 直近1週間の「困った場面」を20〜30秒の短場面で言語化(例:誘われたのに気づかない/待ち時間で離脱)。
- ターゲットは一度に1〜2個。成功の定義(例:「誘いに3語で返事」「順番カードを2回使う」)を明確に。
- 教師・支援員・SC・事業所と共通理解をつくる。(文部科学省)
ステップ2:環境を整える(先回りの配慮)
- 視覚支援:順番カード/小さなルール表/休憩カード。
- 時間の見える化:タイムタイマーや砂時計で待ち時間の予測可能性を上げる。
- 小集団から開始:2〜3名で成功体験を積む(SSRや居場所での練習も有効)。(滋賀県公式ウェブサイト)
ステップ3:ミニスキルのSST
- 誘い方:「いっしょに○○しよう?」→相手がNOでもOKと言う練習。
- 断り方:「いまは××してる。あとで○○ならできるよ」。
- お願いの仕方:「貸して→終わったら返す約束」。
低学年向けは絵・場面カードで良い例/良くない例を対比し、どこが違うかを言語化。教材・ワークの活用で“見える化”を徹底します。(こどもとIT)
ステップ4:ロールプレイ→行動リハーサル
- 役割を交代しながら3回繰り返し、具体フィードバック(良かった行動を言い当てる)を即時に。
- 感情が高ぶる場面は、休憩カード→深呼吸→再参加の手順を体で覚える。
- 家庭では30秒ロールプレイ×毎日の“超小分け”が続きやすい。
ステップ5:段階的なピア実践
- 家庭→学校の休み時間→放課後の短時間遊び→休日30〜60分の順で負荷を上げる。
- 失敗のリペア(修復)の言い方も定型文で準備(例:「さっきは大声出してごめん。つづきしない?」)。
- 学校側は小さな役割(タイムキーパー、記録係など)を用意し、所属感を高める。(文部科学省)
ステップ6:振り返り(評価→調整)
- 「できた行動」を写真・スタンプで見える化し、成功日誌をつける。
- 月1回は関係者で計画の見直し(目標更新・支援終了の判断も含む)。ガイドラインが勧める評価→調整→見直しのループを家庭にも。(cfa.go.jp)
具体アクティビティ:5つの“遊びのドリル”
- 「3語で返事」ゲーム
お題:友達に誘われたら3語で返す(「いくよ」「いま無理」「あとでね」)。リズム遊びにのせて反復。(こどもとIT) - 順番カードdeマリオネット
順番カードを自分で掲げて次の人へ渡す。視覚的な切り替え練習。 - 気持ちの温度計
0〜5の表情スケールで今の気持ち温度を指さす→3以上で休憩カード。 - ルールの実況中継
始める前にルールを声に出す→途中変更は全員で言い直す。暗黙ルールの明示化。 - ハプニング対処ごっこ
「負けた」「取られた」「中断」など困り場面カードを引いて対処セリフを実演。(こどもとIT)
保護者の関わり:家庭は“ソーシャル道場”
PEERS®のエッセンスにならい、親がコーチ役に。
- 称賛:修正=3:1を意識(できた行動を具体語でほめる)。
- ホームワークを短く日課化(30秒ロールプレイ/週2回の実地練習)。
- 友達との約束・振り返りは保護者が橋渡し(ショートメッセージで開始と終了を共有)。
社会の理解が進み、診断がつかないグレーゾーンの子の困りごとにも注目が集まっています。支援の受け皿や実用的な本・ワークも増え、「気づいたときがスタートライン」。家庭が最初の練習場になると、学校・地域の支えと噛み合いやすくなります。(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)
学校・地域とつながる:相談先の地図
- 学校:担任/SC/特別支援コーディネーターに「具体場面と目標」を持ち込み、学級内での小集団練習を提案。(文部科学省)
- 校内支援センター(SSR):居場所づくり+SST+交流機会。段階的参加に向く。(滋賀県公式ウェブサイト)
- 児童発達支援・放課後等デイ:計画(個別支援計画)に対人目標を明記し、園校と双方向に記録共有。(cfa.go.jp)
つまずいた時のリカバリ:ミニQ&A
Q. すぐケンカに…
A. 先に“離れる合図”と“戻る合図”を練習。視覚カード+定型文(「いったん休憩」「戻っていい?」)。(滋賀県公式ウェブサイト)
Q. 誘いに気づかない
A. 名前→用件→選択肢の3点セットで声かけをお願い。家庭では3語返事ゲームで反応速度を上げる。(こどもとIT)
Q. 失敗して落ち込む
A. その日の成功シーンを1つだけ写真やメモで残し、次の一手(行動の置き換え)を一緒に決める。(cfa.go.jp)
おわりに:小さな成功を“連続”にする
友達とうまく遊ぶ力は、生まれつきだけで決まりません。見える化→練習→実地→振り返りのループを、家庭・学校・地域で共有し、小さな成功を連続させることが肝心です。政策・実践・教材が揃いつつある今、できることは確実に増えています。今日の30秒ロールプレイが、明日の「また遊ぼう!」につながります。(文部科学省)
用語ミニ解説
- 発達グレー:診断の有無に関わらず、発達特性に関連する困りごとが日常で目立つ状態の通称。
- SST:ソーシャルスキルトレーニング。対人スキル(誘い方、断り方、感情調整など)を、見本・ロールプレイ・フィードバックで練習する手法。(こどもとIT)
- PEERS®:思春期~青年期向けの友だち作りSSTプログラム。保護者同時参加・宿題を特徴とし、社会的スキルや交友頻度の改善が示されている。
参考にした最新動向
SST低学年ワークの刊行ニュース、学校のSC活用状況、校内支援センターの取組、児童発達支援・放デイの最新ガイドライン、PEERS®の国内実践報告・研究、学級での対人問題解決の授業実践などを踏まえて構成しました。(こどもとIT)
ディアーズ1’st公式サイトへ
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