
「食べられない」の裏側には、感覚(匂い・触感・温度・見た目・音)に由来する“つらさ”が隠れていることがあります。これは怠けやワガママではなく、神経のはたらきによる特性です。(子どもの神経科)
目次
1. 偏食=甘えではない——まず「背景」を知る
2. 家で今日からできる「やさしい環境づくり」
3. 無理なく広げる「食のステップ設計」
4. 親子がラクになる「言葉かけ」とマナー
5. “栄養が不安”なときの考え方
6. よくあるQ&A(超実践編)
7. 学校や祖父母に伝えるときの説明テンプレ
8. 研究から見える“親のしんどさ”にも目を向けよう
9. まとめ——“できた”を積み上げる家庭の作戦
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1. 偏食=甘えではない——まず「背景」を知る
感覚過敏と“食べること”
感覚過敏とは、一般よりも五感の刺激を強く感じやすい状態。外皮がザラつく、ケチャップの匂いが鋭く刺さる、噛む音が不快、温度差が苦痛——こうした刺激が脳の警報を鳴らし、「危険=口に入れない」という行動につながります。自閉スペクトラム症(ASD)などの特性と併存することもあり、躾や根性では解決できません。(子どもの神経科)
ARFID(アーフィッド)という診断名も
偏食や少食が続き、成長や健康に影響する場合、回避・制限性食物摂取症(ARFID)に該当することがあります。神経性やせ症のような「体型へのこだわり」は伴わず、主に感覚のつらさ・食への関心の乏しさ・吐くことへの恐怖などが背景になりえます。気持ちの問題ではなく医療的に定義された摂食障害です。(MSD Manuals)
2. 家で今日からできる「やさしい環境づくり」
① “刺激”を減らす食卓
強い匂いの料理を遠ざける/食器洗い機やテレビの音を止める/照明を落とす——こうした感覚負荷の調整だけで、食べる意欲が上がることがあります。食事時間と席を一定にし、視覚的な散らかりを減らすのも有効です。(conquertherapyservices.com)
② 姿勢と道具を整える
足が床に着く椅子、やわらかいグリップのスプーン、深めのボウルなど、身体の安定は口の動きの安定につながります。これは作業療法の実践知として広く共有されるアプローチです。(ercptjournal.org)
③ 「見た目・音・温度」を先に工夫
同じ食材でも、衣でカリッと・とろみでツルッと・常温で匂いを弱めるなど、感覚の入口を変えると食べやすさが変わります。調理法の工夫は家庭で取り入れやすい第一歩です。(ハッピーテラス)
3. 無理なく広げる「食のステップ設計」
① フードチェイニング(似たものから少しずつ)
まず“食べられる好き”を基点にします。例:ポテト→にんじん少量を混ぜたポテト→にんじんスティックへ。形・色・匂いの変化は一度に一つだけ。成功体験を積むのがコツです。(note(ノート))
② マイクロチャレンジ(小さな試し)
「触る→皿に乗せる→唇に当てる→舐める→小指の先サイズを噛む」のように、階段を刻む。できたら即スモールご褒美(ステッカー等)で強化します。強引な“完食指導”は逆効果になり得ます。(子どもの神経科)
③ “分ける”を味方に 丼や混ぜご飯が苦手なら、仕切り皿で要素を分ける/ソースは別添え。見た目の統制が効くと安心感が上がります。(ハッピーテラス)
4. 親子がラクになる「言葉かけ」とマナー
- 言わない:「好き嫌いしない」「一口でいいから」「お友達は食べてるよ」
→ 比較や命令は不安を増強。 - 言う:事実と選択肢で短く——「今日は温かいパンと冷たいヨーグルト、どちらから?」
- 時間:短め(15–20分を目安)+終わりを予告。ダラダラは感覚疲労を招きます。(conquertherapyservices.com)
5. “栄養が不安”なときの考え方
- 当面は「食べられる物で栄養を確保」:許容範囲での偏りはOK。医師と相談のうえ栄養食品の活用も。(子どもの神経科)
- 記録:1週間単位で食べた品目をチェックすると、バリエーションの“実はある”が見つかりやすい。
- 検討ライン:体重の伸びが止まる/脱水や欠乏症状の疑い/学校・家族機能に重大な支障——こうした場合は小児科・栄養・精神科・作業療法など多職種に早めに相談を。ARFIDの可能性も含め、医療的評価が役立ちます。(MSD Manuals)
6. よくあるQ&A(超実践編)
Q1. 白い物しか食べない/色で嫌がる
A. “同系色からの橋渡し”が有効。白パン→薄い黄(卵少量)→淡いオレンジ(かぼちゃペースト極少)…のように色相を連続させます。形は変えず、匂いは弱めに。(発達障がいのお子様向け放課後等デイサービス・児童発達支援 - こどもプラス)
Q2. サクサクしか無理
A. 衣やトーストで外側サクサク/内側しっとりにして“慣れの緩衝材”に。音の快・不快は食欲に直結します。(ハッピーテラス)
Q3. ひとかけらも口に入れない
A. まずは触覚慣れ(手→カトラリー→唇)。食卓以外の場(調理の手伝い、買い物の選択)で関与度を上げると、口に入れる準備が進みます。強制は避け、成功のハードルを極端に下げるのがコツ。(子どもの神経科)
7. 学校や祖父母に伝えるときの説明テンプレ
うちの子は感覚過敏があり、匂い・触感・見た目の刺激が強いと体が拒否してしまいます。怠けではありません。
家では、刺激を減らす/似た食べ物から少しずつ試す/強制しないを基本にしています。学校では匂いの強い料理を遠ざける・混ぜない・時間を区切る配慮をお願いします。医療的にはARFIDという診断分類もあり、必要に応じて受診・相談します。(conquertherapyservices.com)
8. 研究から見える“親のしんどさ”にも目を向けよう
偏食の子どもを育てる親は、準備の負担・周囲の目・罪悪感に悩みがちです。質的研究でもその多様な困難が示され、家族支援の必要性が語られています。孤軍奮闘にならず、医療・療育・地域の資源を使いましょう。(サイエンスダイレクト)
9. まとめ——“できた”を積み上げる家庭の作戦
- 環境調整:匂い・音・光・時間を整える。(conquertherapyservices.com)
- 小さく分ける:一度に変えるのは一要素だけ。階段を細かく。(子どもの神経科)
- 似ている所から広げる:フードチェイニングで連続性を作る。(note(ノート))
- 強制しない:完食指導より成功体験。(子どもの神経科)
- 必要なら受診:成長や健康に影響が見えたら、ARFIDも視野に専門家へ。(MSD Manuals)
偏食の子どもは「がんばれない子」ではなく、感じすぎる世界を生きている子。おうちの微調整と、小さな成功の積み重ねで、食卓は“戦場”から“安心の場所”に変えられます。
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